ニキビの薬

トレチノインは背中ニキビにも効果あり!? 〜論文紹介〜

こちらの論文を和訳していきます。

タイトルは

トレチノインローション0.05%とアゼライン酸フォームによる体幹ニキビの局所治療

概要(論文を読んで重要だと思ったことを箇条書きにします。)

・顔のニキビに悩む人の半分は背中や腕にできるニキビもある。

・全身にできるニキビには飲み薬(抗生物質)が処方されやすい。

・抗生物質は腸内細菌を殺してしまうため、長い期間服用できない。

・今回の実験では、トレチノインローション0.05%とアゼライン酸15%フォームの組み合わせで治療に成功した全身ニキビに悩む4人のアフリカ系アメリカ人女性患者について説明

概要はこんな感じです。

続いて

「はじめに」に書いてあることを箇条書きにします。

・ニキビは毛包脂腺一つに対して一個できる。

・毛包脂腺にCutibacterium acnes(C.acnes)という菌が多く存在していて、以前はこれが原因だと考えられていた。

・しかし、最近の研究で脳-腸-皮膚の関係性、皮膚および腸の固有の微生物(腸内細菌)が宿主(人間)の免疫学的、ホルモン的、および代謝的平衡に不可欠である可能性が考えられている。

・手が届きにくい背中ニキビには飲み薬(抗生物質が使われがちだが、腸と皮膚に存在する菌を殺すのは良くないんじゃない?という課題があり、それらを解決するために今回の実験を進めていく。

脳と腸と皮膚の三つを考慮に入れた治療が必要ということですね。

それでは、ここから女性患者の治療についてみていきます。

1人目の患者

患者1は30歳の女性で、3年間の重度の背中のニキビ、頻繁な発疹、およびそれらが残したニキビ跡に関する懸念が考えられます。

彼女は過去に皮膚科医に診てもらい、経口エリスロマイシンで治療されていました。

背中ニキビは改善しましたが、発疹は止まりませんでした。経口ドキシサイクリンへ切り替えましたが、まったく役に立たず、補助として処方された毎日塗るタイプのアダパレンローション0.1%の使用もしませんでした。

患者は顔のニキビや色素沈着がなく、皮膚は滑らかで柔らかく、輝きを放っていました。ニキビは彼女の胸と背中で見られました。彼女の胸と背中には色素過剰のデコボコが見られ、背中には色素過剰のデコボコと膿疱が見られました(図1(a))。

図1

Patient 1: (a) pretreatment; (b) after 4 weeks treatment with tretinoin and azelaic acid; and (c) after 12 weeks treatment with tretinoin lotion and azelaic acid.

図1

患者1:

(a)治療前

(b)トレチノインとアゼライン酸による4週間の治療後。

(c)トレチノインローションとアゼライン酸による12週間の治療後。

この患者は以前に2つの経口抗生物質とアダパレンによる治療に失敗したため、より高い濃度のレチノイド(トレチノイン・レチノール)が必要でした。

トレチノインローション0.05%(Altreno®、Ortho Dermatologics)は、トレチノイン濃度(0.05%)、粒子サイズ(85%10ミクロン未満)、均一な分布、およびヒアルロン酸とコラーゲンを添加した独自の処方で処方されました。乾燥や刺激を減らすことを目的としています。

彼女はまた、色素沈着(ニキビ跡)を治療するために、背中に1日2回使用するために15%のアゼライン酸フォームを処方されました。

アゼライン酸フォームは色素沈着治療に適応され、肌を明るくする効果があることが知られています。

これは、ハイドロキノンを避けたい患者のための代替手段です。

これらの治療は4週間続きました。彼女は治療に対する満足度を言葉で表現しました。彼女は、ダークスポットがはるかに明るく見え、最初の訪問以来、発作はなかったと述べました。

身体検査では、炎症後色素沈着が著しく軽減されました。

1つの膿疱、1つの皮膚色の丘疹、および1つの高色素性丘疹がありました。

患者は、トレチノイン0.05%ローションが塗布された場合のかゆみや灼熱感はなかったとし、治療部分にレチノイド皮膚炎や乾皮症はありませんでした。((図1(b))。

12週間後の様子では、ニキビはなく、炎症後色素沈着の改善が見られました(図1(c)。

1人目の背中のニキビ跡の治療にトレチノインと保湿剤を混ぜて作ったローションで副作用なく、ニキビ跡を綺麗にしていくことができたようです。

続いて2人目をみていきましょう。

2人目の患者

患者2は33歳の女性で、最初の訪問前に数年間ニキビの病歴があり、脂漏性皮膚炎と軽度のアトピー性皮膚炎です。

彼女は過去に多くの一般用薬品(OTC)とニキビの処方薬を服用していました。

治療歴

3か月間

・リン酸クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルのゲル1.2%/ 2.5%(日本だとベピオゲルなど)が、ドキシサイクリン150 mgを1日1回経口投与し、アゼライン酸フォーム15%を体幹のニキビに1日2回処方されました。

→3か月後の結果、彼女はまだ顔と背中の両方で発疹がでていると述べた。

次の治療

・顔と胸にベンゼフォーム9.8%局所発泡ショートコンタクトクレンザー、胸にアゼライン酸15%フォーム、リン酸クリンダマイシン、過酸化ベンゾイルゲル1.2%/ 3で治療しました。

・毎日顔に75%(Onexton®、Ortho Dermatologics)、毎晩アダパレンと過酸化ベンゾイル0.3%/ 2.5%(Epiduo®、Galderma)のジェル。

・胸と背中の色素沈着のためにハイドロキノン4%ローションを1日2回処方されました。

→3か月後、彼女は経口抗生物質はまったく役に立たなかったと述べ、それらを中止しました。アダパレン0.1%ローションは、1日1回胸と背中に塗布するために処方されました。

この治療計画で、体のニキビが再発するまで、6ヶ月以上にわたって顔および体のニキビをうまく制御できました。

このとき、彼女はミノサイクリン115 mgを毎日経口投与し始めましたが、これでは体のニキビを十分にコントロールできなかったため、患者は推奨される10%グリコール酸クレンザーを週に3回、2%グリコール酸と2%サリチル酸をスプレーにて使用しました。(アダパレン0.1%ローションと一緒に)

患者の胸、肩、背中の色素沈着過剰は非常にひどく、色素沈着過剰に不満を感じていました。

経口抗生物質は中止され、20%サリチル酸ケミカルピーリングが毎月合計5回実施されました。

これらは、最初は色素過剰の斑点を軽減し、体幹のニキビを制御するのに効果的でした。しかし、観察の結果、体のニキビと黒ずみが顔のニキビよりも多い結果となりました。

トレチノインローション0.05%とアゼライン酸15%フォームによる治療を1日2回開始しました。炎症後色素沈着と同様に、体のニキビはよく制御されました。

患者は、トレチノインローションが塗布されたかゆみや灼熱感を否定しました。

2人の患者に共通していることは

飲み薬の抗生物質が事態を悪化させていることです。

抗生物質は腸内細菌を全滅させる恐れがあるので、肌の問題の解決には極力使用したくないです。

次回の記事で3、4人目の結果と考察をまとめていきたいと思います。

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nisikori
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