レクチンについて

レクチンって結局、体に悪いの? パート2

レクチンって結局体に悪いの? パート2

前回のレクチンシリーズの続きです。

前回は

レクチンは糖鎖と結合する。

レクチン含有量の多い少ないで、腸に与える影響が異なるという話でした。

今回は腸の表面の糖構造から学んでいきます。

前回同様、こちらの論文から

まずは論文の原文翻訳から

「腸の上皮表面は広範囲にわたってグリコシル化されている。

その主な理由は、ホルモン受容体や増殖因子受容体、輸送タンパク質、刷子縁の酵素などの膜タンパク質のほとんどが、刷子縁膜に埋め込まれる以前にグリコシル化を受けるからである。

それに加えて、膜の脂質やガングリオシドもグリコシル化されているし、分泌されるムチンもすべて糖鎖が沢山ついた糖タンパク質である。

したがって、一口にレクチンと腸の相互作用といっても広範囲にわたる。

しかし、こういった反応が起こるには、腸の粘膜の表面に適切な、すなわち、問題としているレクチンが特異的に認識する糖構造が存在しなければならない。

それゆえ、消化管表面が高度にグリコシル化されているといっても、すべてのレクチンが上皮と反応するとは限らない。

たとえ反応するとしても、特定の糖受容体を認識して結合する能力は様々である。さらに、糖構造は様々な要因によって変わりうる。

たとえ同じ動物種であっても、年齢、血液型の特異性、遺伝的要因、粘膜細胞の細胞型や分化成熟における段階、絨毛(じゅうもう)から陰窩(いんか)へ向かう座標軸上でどの位置にあるか、

胃から腸にかけての位置などによって、それぞれの糖構造は異なるのである(Table II)。

例えば、分化が進んでいない陰窩細胞の膜タンパク質の糖鎖は通常高マンノース型であるとされているが、絨毛まで達した成熟細胞は複合型の糖鎖を発現している。」

言葉についての説明からします。

  • グリコシル化とは

正確にいうと違うのですが、ざっくり説明すると糖と糖が結合するときにグリコシド結合という反応を起こす。

そのときにできた結合部分のことだと考えていればよいと思います。

下の図だと糖と糖ではないのですが、結合するためにHが2個、Oが1個とれて結合しています。結合するときに水ができています(化学反応式の一番右)。

難しくいうと

単糖(または単糖誘導体)のヘミアセタールとアルコールなどの有機化合物のヒドロキシ基との間の結合です。

  • ムチン

腸管上皮細胞の一つである杯細胞から産生される糖タンパク質のこと。

動物の上皮細胞などから分泌される粘液の主成分である。

粘液層はムチンによって構成され,腸管上皮を覆うことで物理的に腸管組織への細菌侵入を防止している.

  • 絨毛(じゅうもう)

 小腸内壁の輪状ひだに存在する突起のこと。

栄養吸収の効率を良くするため、小腸の表面積を増やす仕組み。

  • 陰窩(いんか)

小腸と大腸の上皮で見つかっている腺である。

この腺は、エンドペプチターゼやエクソペプチターゼとともにスクラーゼやマルターゼを含んだ様々な酵素を分泌している。

簡単にまとめると

腸の表面にはさまざまな糖タンパク質があるけれど、すべての糖タンパクにレクチンが結合するとは限らない。

レクチンが糖タンパクと反応するためには、何か特徴的な糖構造が必要であるというかんじですかね。

論文の原文翻訳を載せると難しくなりそうなので、ここから先はかいつまんで説明します。

小腸の主な役割は食物を消化吸収することです。

その他にも役割があって、ムチンを産生することです。

小腸は2種類の部分から組織されていて、陰窩(幹細胞が増殖分化する)と絨毛である(分化した細胞が絨毛の先端へ向かって移動しながら成熟していく)。

上で説明した語句を読んで理解してください。

ここから重要な情報となりそうなので、原文を載せます。

膜上の複合糖質のグリコシル化のパターンは種類 によって異なる。

確かに、膜のグリコシル化に多様性があるということで、なぜ腸表面と相互作用する能力がレクチンごとに違うのか説明できそうである(6)。

しかし残念ながら、腸表面受容体 の正確な糖構造、その陰窩、絨毛軸上での分布の状況、正常にターンオーバーしているときと、年齢や食餌状態が変わったときでの糖鎖の変化などについて定量的な情報は今のところきわめて少ない。

簡単にいうと

腸の膜にはいろんなグリコシド結合のパターンがあります。

いろんなグリコシドのパターンがあれば、レクチンごとに作用の仕方が違ってくるのが説明できそうということですかね。

さらに読み進めると、内容が難しかったので、簡単に説明します。

腸の上皮細胞の増殖因子にレクチンが関与しています。

細胞のターンオーバーを促進するのですが、絨毛の未成熟細胞が増加してしまい、その結果、食物を吸収する能力は弱まってしまう。

なんと、レクチンによって腸の食物吸収力を弱らせているようです。

詳しい仕組みは論文を読んでください。

ここから原文に戻ります。

レクチンが腸内細菌に与える影響

口から摂取すると、有毒だと一般的に考えられてきたレクチンは、それ自体が有害なのではなく、

ほとんどの場合、腸内細菌と相互作用した結果、有害となることが最近明らかにされた (19-24)。

PHAや他のいわゆる 「有毒な」レクチンは、通常の腸内細菌を保持しているラットと同様に、無菌的なラットの上皮に強く結合し、小腸の増殖を刺激するが、無菌的なラットには実質的に無害である(2、19、20)。

通常の腸内細菌を持つ動物に大量にPHAを摂取させると、毒性が見られるのは、おそらく、PHAによって小腸内の特定の細菌の過度な増殖が刺激されるからだと考えられる。

この毒性は、PHA、そしてたぶん、細菌 またはその毒性代謝物や毒素に対する、上皮細胞のエンドサイトーシスが増すと悪化する。

細胞を横切って取り込まれると、こういった毒素は血流中に入り、生命維持に不可欠な生体機能を止めてしまうことにより毒性を発揮するのかもしれない。

さらに、体のホルモンバランスを妨害したり、代謝反応を阻害したりするかもしれない。

論文によると、レクチンによって特定の微生物だけが増えてしまうのが良くないということみたいですね。

さらに読み進めるとレクチンによって小腸内で大腸菌群が過剰な増殖をすることもわかったようです。

これと栄養不足を伴うと健康障害につながるとも述べられています。

レクチンは2つのメカニズムで体に影響を与えることが分かっています。

1つ目は腸の神経分泌細胞に結合して、体の内分泌系に間接的に影響を与えます。

2つ目は腸壁を通って血液循環に運ばれ、末梢組織や体の代謝に直接影響を与えます。

最も影響を受けやすいのがすい臓、骨格筋、肝臓、腎臓、胸腺。

レクチンが腸に対して影響を与えるということはわかってきました。

ただ、肌への悪影響につながっているのかといわれると疑問です。

肌に影響のありそうなレクチンのホルモンバランスへの影響はパート3で説明しようと思います。

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nisikori
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